嘘告彼氏と振られる彼女 (創作小説) 3日目
告白の瞬間
俺はそれまで抱いていた緊張感がチハルに対する好意から来たものではないことに気が付いてしまった。
「彼女を異性として見られない」
その事実から目を逸らすためだけに、嘘の告白をしてしまったのだ。
合宿のあの日から、俺はチハルの視線が苦しくて仕方なかった。
だって俺は彼女の期待に応えられないから。今まで部活の親しい友人だとしか思っていなかった相手を突然好きになるなんて、そんな王道ラブコメみたいな展開はやはり起こらなかった。
彼女に告白したほんの一瞬は安堵を感じていた。
これで、部活で気まずい関係になるのは避けられると。
しかしそんな気持ちは一瞬にして吹き飛んだ。
俺はこの先、いつか必ず彼女を振らなければいけない。
チハルの気持ちを踏みにじるような告白をしてしまったことに後悔が溢れてきた。
告白した日の帰り道。
夕日に照らされた俺の影の黒さが、いつもよりも濃く感じられた。